千本通りには徒歩で回ることの出来る【釘抜地蔵(石像寺)】【千本ゑんま堂(引接寺)】【千本釈迦堂(大報恩寺)】があります。
歩いて回れるのは観光の時短にもなりますし、各寺院で様々なご利益をいただけるのはとても有難いですよね。
それではこの三つの寺院、そして歴史についてご紹介したいと思います。
・千本通りはかつては平安京のメインストリート『朱雀大路』だった
・とげ抜き地蔵の総本山!釘抜き地蔵【石像寺】
・おぉ…。リアルな閻魔像。小野篁と紫式部【引接寺】
・仏像マニア必見のお寺【大報恩寺】と夫を支えたおかめさん伝説
京の都のメインストリート。朱雀大路は84mも道幅があった
朱雀大路。なんだか歴史の教科書で見たような気もしますね。
794(鳴くよ)ウグイス平安京
朱雀大路は桓武天皇(かんむてんのう)により造られた平安京のメインストリートでした。見出しでも書いた通り、なんと道幅は84メートルもあったそうです。上記の朱雀大路のジオラマの手前に見える羅城門は高さ24メートル、幅は80メートルもあったというのでこちらも巨大な門だった事が伺えます。
奈良にある東大寺の南大門が高さ25メートル、幅が29メートルですので南大門の約3倍の幅があったという事です。
とても大きな羅城門と、その門に見合う朱雀大路。
今は当時のような雄大な姿を見ることは出来ませんが、『千本通り』として京都の交通を支えています。
千本通りの道沿いにも今回ご紹介するお寺だけではなく、かつての賑わいを感じることの出来る石碑などの遺構もあるので、ぶらぶら歩いてみるのも良いかもしれません。
『とげ』じゃなく『釘』苦を抜いてくれるお地蔵さま【石像寺・釘ぬき地蔵】
こちら釘抜き地蔵こと石像寺はとげ抜き地蔵の総本山です。
こちらの開基は弘法大師。そうです!あの空海なんです。
空海と言えば京都駅から見える堂々とした五重塔が印象的な東寺があります!よろしければコチラもご覧ください。
とげ抜き地蔵はテレビなどでも聞いた事があると思います。東京の巣鴨にも有名なとげ抜き地蔵がありますね。
東京のとげ抜き地蔵周辺は『おばあちゃんの原宿』って言われてるよね
病や心の苦しみの象徴を『とげ』と呼びますが、とげも鋭く大きくなれば釘のようになる。その釘を抜いて救済してくださるというご利益から、石像寺のお地蔵様は釘抜地蔵の愛称で親しまれています。
ちょっと変わった参拝方法。お地蔵様に祈りを捧げる時間
こちら釘抜地蔵さんの参拝方法ですが、まずは社務所でこちらのろうそくとお線香をいただきます。
1・自分の数え年分の木の棒をお堂の木箱から手に取る
2・ご本尊にお参りをしたら右回りで地蔵堂を一周する
3・木の棒を元の木箱にお返しをする
この繰り返しです。
わたしが初めて訪れた時はまだ幼稚園に通っていた娘と二人でお参りに行ったのですが、娘はもちろん早々にお参りが終わりわたしが終わるのを待っててくれていました。
そうです!年齢と時間が比例しますッ!
お参りをする際には参拝に少し時間がかかる事もありますので、時間には余裕を持って訪れることをオススメします。
この参拝ではお守りとお念珠も購入しました。
地蔵堂にはお堂を取り囲むようにたくさんのお礼参りの八寸釘と釘抜きが付いた独特な絵馬が並んでいます。
お地蔵様に縋る気持ちは今も昔の変わらないんだろうなと思いながら石像寺をあとにし、次は千本ゑんま堂に向かいます。
石像寺 (釘抜地蔵)
〒602-8305 京都府京都市上京区花車町503
超リアルな閻魔像と小野篁。地獄行きと言われた紫式部【引接寺・千本えんま堂】
引接寺(いんじょうじ)は高野山真言宗の寺院で、通称の『千本ゑんま堂』の名の通り、ご本尊は閻魔法王です。
そうです!あの怖ーいお顔をした地獄の裁判官、閻魔様ですね。
『引接』とは仏様が生きとし生けるものを浄土に往生させると言う意味の言葉で、その名の通りこの引接寺はかつて京都の三大葬送地であった鳥辺野(とりべの)、蓮台野(れんだいの)、化野(あだしの)の一つである蓮台野の入口に立っています。
この引接寺は小野篁(おののたかむら)が自ら閻魔法王の姿を刻んで祠(ほこら)を建立して祀ったのが始まりと言われています。
のちの寛仁(かんにん)元年、藤原道長の後援を得た定覚上人(じょうかくしょうにん)が、光明山歓喜院引接寺と命名し、開山しました。
小野篁は平安初期の官僚で、武芸・学者・詩人・歌人としても知られている人物です。
あの世とこの世を行き来することが出来て、昼は宮中に赴き、夜は閻魔様に支えていたと言う伝説を残しています。
あの世とこの世を行き来できて、さらに文武両道、しかも高身長…(*´-`)
鳥辺野、そして小野篁については是非コチラもご覧ください。
本堂には閻魔法王坐像が鎮座し、脇侍は左に司命、右に司録が安置されています。
ちょうどこの写真のガラス扉の中にご本尊がお祀りされているのですが、私がお伺いした時はコロナ禍の平日。
誰も居ない本堂で、本やテレビで拝見したあの怖いお顔の閻魔様を一人でお参りする勇気が出ず…このガラス扉の外からお参りさせていただきました。
ご本尊の閻魔法王像は応仁の乱で焼失してしまい、現在のお像は仏師定勢により長享(ちょうきょう)二年に安置されました。
物語で世の中を乱した紫式部は地獄行き!?
紫式部(むらさきしきぶ)は、平安時代に活躍した女流作家で、彼女の代表的な作品である『源氏物語』は世界最古の長編恋愛小説として知られています。
源氏物語についてはよろしければコチラもどうぞ!
今でもたくさんの読者やファンがいる源氏物語ですが、この時代物語は「嘘」として扱われ、人々の心を惑わせたという罪により紫式部は地獄に落ちたという話が『宝物集』や『今物語』という説話集に書かれているのです。
当時は源氏物語に魅了されてファンになった人まで地獄に落ちると思われていたそうです。
この千本閻魔堂の供養塔はそんな紫式部を地獄から救い、成仏させたいという想いから南北朝時代の至徳(しとく)3年(1386年)に建立されました。
人々の紫式部を救って欲しいという想いが伝わってきますね。
実はそんな人々の思いから紫式部とあの方が同じ場所に眠っているんです。
〒602-8307 京都府京都市上京区閻魔前町34
街中にひっそりと佇む紫式部と小野篁墓所
堀川北大路を南に下った島津製作所の一角に、紫式部と先ほど登場した小野篁のお墓がなんと並んで佇んでいます。
2人のお墓が並んでいる理由は諸説あるらしいのですが、地獄に通っていた小野篁と地獄に落ちたと言われる紫式部のお墓が並んでいる様子を見ると、きっと今は閻魔様への小野篁の説得で紫式部は極楽で幸せに暮らしているのではないかなぁと思いました。
こちらも時間があれば是非訪れてみてくださいね!
小野篁卿墓・紫式部墓所
〒603-8165 京都府京都市北区紫野西御所田町
次は、今回のルート最後になる大報恩寺こと千本釈迦堂に向かいます!
美しい仏像たちと国宝の本堂。そしておかめさんの伝説【大報恩寺・千本釈迦堂】
大報恩寺は鎌倉時代の初期、安貞(あんてい)元年(1227年)に義空(ぎくう)上人によって創建された真言宗智山寺のお寺です。ご本尊は釈迦如来様。通称は『千本釈迦堂』です。
この義空上人は奥州藤原氏第三当主藤原秀衡(ふじさわのひでひら)の孫に当たります。
藤原秀衡は元服した源義経を養育、庇護した人物としても知られています。
現在、藤原秀衡は岩手県の平泉にある『中尊寺』の金色堂須弥壇にミイラとなって収められています。
そんな歴史的有名人の孫である義空上人は比叡山延暦寺で修行をし、この大報恩寺を建立しました。
この千本釈迦堂は京都の町を焼け野原にしてしまった『応仁の乱』やその他の戦禍の被害を受けなかった為、寝殿造(しんでんづくり)の本堂は洛中では最古の木造建築として国宝に指定されています。
千本釈迦堂の霊宝館には美しい慶派の仏像がたくさん!!
仏像好きとしてはずせないのがこの『霊宝館』!!
慶派仏師による仏像が霊宝館にはたくさん収められています。
快慶の弟子である行快が残した数少ない仏像と言われている『秘仏釈迦如来坐像』(重要文化財)や、快慶が晩年に手がけた『十大弟子立像』(重要文化財)、肥後定慶作の『観音菩薩像』(こちらも重要文化財)をゆっくりと拝観することが出来ます。
慶派の仏像は本当に美しく繊細で、且つ力強く、澄んだ瞳で私たちの心の中を全て見透かされているような気持ちになります。
仏像が好きすぎるあまり熱くなってしまいました…笑
霊宝館は拝観料がかかってしまいますが、是非訪れてほしいスポットです!
美しい仏像たちを是非拝観してみてください!
おかめ信仰発祥の地。実在した悲劇の良妻
ふっくらとした頬に、ぺちゃんこ鼻。にっこりとしたこのおかめさんのお顔は納豆のパッケージ等でも馴染みがありますよね。
このおかめさんは実在の人物で夫に尽くした良妻として知られています。
千本釈迦堂にはこのようなお話しが残されているんです。
阿亀(おかめ)さんは長井飛騨守高次(ながいひだいのかみたかつぐ)という名大工の奥さんでした。高次はこの大報恩寺の総責任者を任されます。それはそれは名誉ある仕事だったでしょう。ですが、誤って柱の一本を短く切ってしまい代わりの柱を探しますがなかなか見つからず、このままでは上棟式までに工期を終えることが出来ないと悩んでいました。そんな夫の姿を見たおかめは『全ての柱を短く切り、枡組(ますぐみ)を付けて補えば良いのではないか』と助言します。このおかめの機転で夫の高次は上棟式までに工期を終える事が出来ました。めでたし、めでたし。
ではないのです!!
女性の助言によって成功を収めたなどあってはならない時代です。この事が世間に知られては夫の名誉に傷がつくと、上棟式を待たずおかめさんは自害してしまったのです。
そんなぁ…
『枡組』とは上記写真のおかめ像が手に持っている枡の事です。
この枡組は実際本堂を訪れると柱の上に確認することが出来ますので是非ご覧になってみて下さい。
このようなエピソードから『夫婦円満』や『縁結び』のご利益があるとされていて、多くの女性がおかめ塚にお参りに訪れています。
そして、おかめ信仰発祥の地となり全国へ広がっていきました。
3月下旬には早咲きの枝垂れ桜が美しい光景を見せてくれます。
こちらの桜は阿亀桜と呼ばれ、本堂を優しく包み込むように枝を広げています。
〒602-8319 京都府京都市上京区溝前町1034
あとがき
今回は千本通りにあるお寺【石像寺】【引接寺】【大報恩寺】をご紹介しました。
さすが、平安京のメインストリートであった朱雀大路の周辺には数々のエピソードがありましたね。
内容もボリュームアップしていまいました。
全て徒歩で回れますので、是非歴史の現場を体感してみてください!
そして、今回から「みどりこトラベル」のキャラクターが変わりました!
クリエイターりしのんさんに、私みどりこの顔写真からイメージしたキャラクターを作っていただきました!
私の顔は動物で例えるとビーバーになるそうです笑
りしのんさんのゆるいイラストが本当に可愛くて、日々癒されています(´∀`*)
X(元Twitter)もされていますので、皆さんもゆるいイラストに癒されてみてください( ・⊝・∞)
コメント